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録音・著作:萱野 茂

萱野茂さんからのメッセージを再生

1998年「萱野茂のアイヌ神話集成」初回発売時の言葉(約1分)
企画・原盤制作:ビクターエンタテインメント株式会社
制作協力:平凡社、みつプロダクション
発売元: 財団法人日本伝統文化振興財団

●ごあいさつ

●商品構成(商品番号 : VZZA-1)

  • アイヌ神話集成パッケージ写真書籍《全10巻》
    A5判・上製本・全約2000頁
    (アイヌ語、ローマ字、和訳、脚注付)
  • C D 《全11枚》
    全収録時間・約11時間
  • ビデオ 《1巻》
    ビデオ1巻「アイヌ ネノアン アイヌ」〜人間らしい人間の物語〜
    収録時間・約41分

●収録内容

カムイユカラ(神謡)編・・・・書籍3巻・CD3枚
ユカラ(英雄叙事詩)編・・・・書籍3巻・CD3枚
ウウェペケレ(昔話)編・・・・書籍3巻・CD3枚
資料編・・・・・・・・・・・・書籍1巻・CD2枚
ビデオ「アイヌ ネノアン アイヌ」〜人間らしい人間の物語〜(1995年二風谷で収録)

平成10年度 第52回 毎日出版文化賞受賞作品
平成10年度 文化庁芸術祭 第14回 芸術作品賞受賞作品

  • CDには、昭和30〜40年代のアイヌの古老たちの語りや歌が精選・収録されています。
    活き活きとしたアイヌ語を聞き・学ぶことのできる、まさに貴重な音源です。
  • CDに収録されている音声は、全て付属の書籍に、カタカナ表記・ローマ字表記・和訳、脚注付きで掲載されております。
  • アイヌ文化への理解を深める教材として、言語学的資料として、またアイヌ語の学習にも最適な内容です。

*本作品集に収録されている「ウウェペケ」は、『新訂 復刻 ウウェペケ集大成』(2CD:VZCG-8318〜9 定価15,000円+税、発売元:日本伝統文化振興財団)に収録されている「ウウェペケ」の音源とは重複しておりません。

お問い合わせ:公益財団法人日本伝統文化振興財団 (info@japo-net.or.jp

ご挨拶

この度、財団法人日本伝統文化振興財団では、弊財団基金元ビクターエンタテインメント株式会社が1998年に発売致しました「萱野茂のアイヌ神話集成」を10年ぶりに復刻することと致しました。

この作品は、数多い著作やアイヌ民族初の国会議員として知られる萱野茂先生が生前精魂込めて制作された「音」と「映像」と「文字」によるアイヌ語大集成企画で、発売年度の毎日出版文化賞(第52回)ならびに文化庁芸術作品賞(第14回)を受賞した作品です。

もともとこの全集に収録したカムイユカ(神謡・神が自らのことを語る話)・ウウェペケ(物語:伝説・昔話など)・ユカ(英雄叙事詩)とアイヌ伝承歌などは、昭和35年から萱野先生御自身が録音してこられた貴重な音源です。総録音時間650時間にも及ぶこれらの録音テープの中から、先生自らが11時間分を選び、その音源を和訳・解説し、CDアルバム11巻・VHS1巻と書籍10巻から成る全集にまとめたのがこの作品でした。

しかしながら発売当初、650時間もの録音テープすべてをデジタル保存することを含め初期費用が嵩んだこともあり、収支の観点から高価格にならざるを得なかったこの全集は、図書館や大学などの研究機関と専門家の方々からのご好評は頂きましたが、小・中・高等学校などの学校教育現場からは、残念ながらほとんどお求め頂くことが出来ませんでした。

この度の復刻発売にあたり、れい子夫人から「未来を担う子どもたちにこそ、夫・茂が情熱込めて収集し録音した、アイヌ語を聞いてもらいたい」という熱い思いのこもったご提案を頂きました。アイヌ語・アイヌ文化・アイヌ民族の啓蒙と継承を願ってやまなかった故萱野先生の熱意を思い起こし、私ども財団は本集成の寄贈を決定致しました。

本集成の企画意図、並びに募集要領につきましては、別紙に取りまとめましたので、ご一覧下さいますようお願い申し上げます。

平成20年7月28日
財団法人 日本伝統文化振興財団
理事長 藤本 草

ご挨拶

このたび、財団法人日本伝統文化振興財団が、10年ぶりに「萱野茂のアイヌ神話集成」を復刻すると聞いてとても喜んでおります。

ここに収められたアイヌの古老たちの語りは、40年以上に亘って夫・茂が精魂を傾けて記録し、後世に伝えたいと願い続けてきた大切なものばかりです。あちこちのアイヌのおじいさんおばあさんの家を訪ねては、本当に長い間苦労しながら録り貯め、二風谷アイヌ資料館の金庫の中に大事にしまってあった音が10年前に全集となった時に、心の底から喜んでいた夫の姿が目の前に甦ります。その夫の労作が、今また世の中に出る機会を得たことは、今度は私が本当に嬉しくてたまりません。

夫・茂は「言葉には足がある」とよく申しておりました。ある時一人の姪っ子にアイヌ語の早口言葉を教えてやると、次の日にはすっかり早口言葉を覚えた姪っ子が、次々に友達を連れて来て、「教えてくれ」と言ってきたことがありました。茂はこのエピソードが大好きで、「一人に伝えると、どんどん広がる、言葉とはそういうもんだ。使ってこそ言葉だ」とよく言っておりました。

ですから、これから大人になり未来を担っていく子供たちが、かつて自由にアイヌ語で会話していた古老たちの活き活きとしたアイヌ語を聞き、アイヌ文化に触れて、いろいろなことを考えたり感じたりしてくれたら、さぞかし夫も喜ぶだろうと思いました。

今回の復刻にあたって、高価な全集にもかかわらず100セットを学校に寄贈するという英断をして下さった日本伝統文化振興財団には、心から感謝をしています。

平成20年7月20日

萱野れい子

作品概要

書籍《全10巻》/CD《全11枚》/ビデオ《1巻》

カムイユカ(神謡)編

書籍3巻・CD3枚

カムイユカは、火の神・水の神やクマ神・キツネ神など、いろいろな神々が自ら語る形式でその活躍ぶりを描いており、アイヌ民族の神や自然に対する考え方をとてもよく表わしています。

サケヘという繰り返しの言葉が入っていることで、空間的な広がりとリズミカルなのどかさを感じさせます。

昭和36年に黒川てしめさんが語った「支笏湖の大蛇」をはじめ、「大空に描いたコタン」「キツネのチャランケ」「蛍の婿選び」「からっぽやみの子供の話」など25話を収録。

冬のチセ(家)とプ(足高倉)[二風谷アイヌ復元家屋]

ウウェペケ(昔話)編

書籍3巻・CD3枚

ウウェペケは昔話・民話と訳され、神々の力によって助けられる人間を主人公とする形式で語られます。

話の最後は「だからそうしてはいけませんよ」「そうしなさい」というような、聞き手の子供たちに世の中の善悪や道徳観を促し、生活の智恵を授ける言葉で締めくくられています。

昭和38年に木村うしもんかさんが語った「蜘蛛神に助けられた話」をはじめ、貝沢と゜るしのさん等が語る十数話を収録。

冬の二風谷

ユカ(英雄叙事詩)編

書籍3巻・CD3枚

ユカは、自由自在に空を飛び、魚よりも早く泳ぐ力を持ったポンヤウンペという少年英雄の、冒険と波乱に満ちた生涯を語る英雄叙事詩です。

ニという棒を手に持ち、軽く炉縁をたたきながらリズミカルに語られます。

昭和35年に鳩沢わてけさんが語った「魔性の村」をはじめ、平賀さたもさん、二谷一太郎さんの、臨場感あふれるユカのお手本のような4話を収録。

夏の沙流川(2016年撮影)

資料編

書籍1巻・CD2枚

昭和35年に二風谷で実際に行われた、死者への引導渡しを始め、カムイノミ(神への祈り)を中心に収録したCD1枚と、イヨンノッカ(子守歌)・イヨハオチ(恋歌)・ヤイサマ(即興歌)・ウポポ(座り歌)など、生活の中の歌を中心に収録したCD1枚、および総論や解説・索引を含めた書籍1冊で構成。

平取アイヌ文化保存会の皆さんによる古式舞踊

ビデオ「アイヌ ネノアン アイヌ」〜人間らしい人間の物語〜

出演:萱野茂ほか(二風谷のアイヌ復元家屋にて1995年に収録)

アイヌ語を聞いて育った萱野茂氏が、自らの生い立ちとアイヌ文化について語るドキュメント。二風谷でのイナウ(木で削った御幣)作り・古式舞踊・チサンケ(舟おろし)の映像を交えながら解説します。特にシシムカ(沙流川)でのチサンケの模様は、今は二風谷ダムの完成によって水没してしまった豊かな風景をも収録した貴重な映像です。

二風谷アイヌ復元家屋内にて

プロフィール・・・萱野 茂(1926-2006)

大正15年北海道生まれ。昭和27年後半よりアイヌ文化やアイヌ語などの伝承文化の保存に務め、昭和58年はじめての「アイヌ語教室」を開設。菊地寛賞(昭和50年)・北海道文化奨励賞(昭和53年)・吉川英治文化賞(平成元年)・北海道文化賞(平成5年)・山本有三記念郷土文化賞(平成9年)、本企画において「毎日出版文化賞(平成10年)」「文化庁芸術作品賞(平成11年)」受賞。平成6年から10年までアイヌ民族初の国会議員(参議院議員)として活躍。平成13年には総合研究大学大学院より博士号を授与される。主な著書として「アイヌの民具(すずさわ書店)」「アイヌの碑(朝日文庫)」「萱野茂のアイヌ語辞典(三省堂)」など本企画含め40冊等がある。平成18年逝去。

ビクターは、萱野氏所蔵の全録音テープの恒久保存化に協力しました。

昭和35年以来、萱野茂氏によって録音されたアナログテープは、約650時間に及びます。初回発売時の制作にあたり、ビクターは最新デジタル技術によって、その全記録の恒久保存化を行いました。こうした活動が、アイヌ文化の継承と発展へとつながることを願いつつ、ご賛同を賜わりました故・萱野茂氏、関係各位に心から感謝を捧げます。